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  • ダビッド トゥルーベック

クリスチャンがユダヤ史を学ぶべき4つの理由


📷 Shlomi Znati 世界史の大部分をカバーできるから


ユダヤ人の歴史は非常に幅広いものです。ユダヤ人はこれまで、人が住むすべての大陸に住み、数え切れないほどの社会を形成してきました。歴史家のポール・ジョンソンは、「ユダヤ人の歴史を書くことは、ほとんど世界史を書くようなものだが、非常に独特な角度から見たものである」と書いています。ユダヤ史をたどっていくと、古代近東、北アフリカ、中世イスラム帝国、ヨーロッパ、アルゼンチン、アメリカ、日本の歴史(1572年に来日したスペイン系ユダヤ人について正確に教えてくれる歴史資料があります。1586年時点では、日本には約130人のユダヤ人社会がありました)、そして現代イスラエルの歴史に至ります。


ジョンソン氏が強調するように、ユダヤ史は世界史の多くをカバーしており、同時に多くの異なる文化や時代についての知識を豊かにしてくれるでしょう。ユダヤ人は国境を越え、何千年にもわたって存在してきたので、歴史の中でユダヤ史ほど広い領域はありません。


しかもユダヤ人は、音楽・経済・科学・物理・医学・法律・文学など、さまざまな分野でその足跡を残してきました。ユダヤ史は学際的なものなのです。実際、世界の歴史におけるユダヤ人の貢献は、その人数の少なさからは考えられないほどに大きいのです。マーク・トウェインは、この魅力的なダイナミズムに驚嘆しました。


「統計が正しければ、ユダヤ人は全人類の1パーセントに過ぎない。それにもかかわらず、ユダヤ人は非常によく知られている。……文学、科学、芸術、音楽、金融、医学、難解な学問における世界の著名リストに対する彼らの貢献は、その数の弱さとは……比較できないほど大きい。」


彼らの影響力は、アブラハムの子孫を通じて「地上の全ての民族が祝福される」という神の約束(創世記12章3節)を証明するものです。ユダヤ史を学ぶことは、ユダヤ人が世界人口のごく一部しか占めていないことを考えると、想像以上に多くのことを含んでいます。それゆえ、ユダヤ史は魅力的であり、かつ有益なのです。



(2)反ユダヤ主義を認識できるようになるから


ユダヤ史における最大の皮肉は、ユダヤ人のメシアであるイエスを信じると主張する人々によって、多くの反ユダヤ的な行為が行われてきたことです。キリスト教神学者たちの多くは、イエスを殺したのはユダヤ人だと教えてきました。そして、ユダヤ人はイエス殺害の罪を永遠に背負うべきだという考え方が、多くの反ユダヤ主義を煽ったのです。


たとえば十字軍は、エルサレムへ向けてヨーロッパを旅する際、数多くのユダヤ人を虐殺しました。そして、その後ユダヤ人たちは、イギリスやスペインなどの国々から追放されたのです。


異邦人の多い教会は、新約聖書に反ユダヤ的な固定観念を持ち込み、パリサイ人やユダの「ユダヤ人らしさ」を強調する一方で、イエスや弟子たちや初代教会の「ユダヤ人らしさ」を無視し、軽視してきました。本当ならば新約聖書は、ヘブライ語聖典を土台にした、深遠なユダヤ教的書物であるのに、残念なことに多くのユダヤ人は、教会の反ユダヤ的解釈という遺産のせいで、「新約聖書は反ユダヤ主義的である」と考えるようになってしまいました。


これは、ユダヤ人がイエスを信じられなくする障壁を、教会の反ユダヤ主義の歴史が作り出してしまったことの一例です。多くのクリスチャンはこのような歴史を知らないため、クリスチャンとユダヤ人(の未信者)との溝を広げてしまっています。しかし、このような歴史を知るならば、ユダヤ人と接する時に、より思いやりのある態度で関わることができるようになります。


たとえば、新約聖書についての話題になったとき、マタイ福音書の1章1節を紹介することができるようになります。この聖句は、イエスがヘブライ語聖書の主要人物と繋がっていることを強調し、イエスを「アブラハムの子、ダビデの子、メシア」と呼んでいるからです。



(3)イスラエルは今でも神のご計画の中でユニークな役割を担っているから


ユダヤ人の歴史は、神に選ばれた民の現在進行形の物語なのです。それは、あらゆる困難に打ち勝つ神の忠実な愛の物語です。あるクリスチャンは、「教会がイスラエルに取って代わった」と考えています。これは、イスラエルとユダヤ人に対する神の約束が、すべて「教会にのみ」適用されることを意味します。


もちろん、神は宇宙の王であり、宇宙の中で起こる全てのことを支配しておられます。神は、ご自分が選んだ人を通して、ご自分の目的を実現することが出来ますし、実際に実現されています。


しかし、神はユダヤ人に特別な召命を与えました。「あなたがたは、わたしのために祭司の王国、聖なる国民となる」(出エジプト記19章6節前半)という召命です。このユダヤ人の役割は、教会が誕生したときに終わったわけではないのです。


ローマ人への手紙の中でパウロは、「神の賜物と召命は、取り消されることがありません」(ローマ11章29節)と、イスラエルが今でも選ばれていることを強く肯定しています。もし、神がイスラエルを見捨てないと信じるなら、聖書時代以降にユダヤ人が何をし、何を経験したかを気にかけるべきでしょう。


「兄弟たち。あなたがたが自分を知恵のある者と考えないようにするために、この奥義を知らずにいてほしくはありません。イスラエル人の一部が頑なになったのは異邦人の満ちる時が来るまでであり、こうして、イスラエルはみな救われるのです。「救い出す者がシオンから現れ、ヤコブから不敬虔を除き去る。これこそ、彼らと結ぶわたしの契約、すなわち、わたしが彼らの罪を取り除く時である」と書いてあるとおりです。彼らは、福音に関して言えば、あなたがたのゆえに、神に敵対している者ですが、選びに関して言えば、父祖たちのゆえに、神に愛されている者です。神の賜物と召命は、取り消されることがないからです。あなたがたは、かつては神に不従順でしたが、今は彼らの不従順のゆえに、あわれみを受けています。それと同じように、彼らも今は、あなたがたの受けたあわれみのゆえに不従順になっていますが、それは、彼ら自身も今あわれみを受けるためです。神は、すべての人を不従順のうちに閉じ込めましたが、それはすべての人をあわれむためだったのです。」(ローマ11章25-32節)


しかし同時に、それぞれの時代や出来事を通して神がどのように働かれるかを、勝手に推測しないように注意しなければなりません。イスラエルの歴史について聖書を読むということは、「何が起こったのか」について、また多くの場合、「なぜ起こったのか」について、間違いのない記述を読むということなのです。


たとえば、イザヤやエレミヤのような預言者は、イスラエルの偶像崇拝の結果、捕囚が始まると語りました。ただし、だからと言って、それ以外のユダヤ民族の苦しみも全て神の裁きである、という結論は導き出せないはずです!


しかし、いくつかの結論は導き出せます。エレミヤ書31章36節で、神はこう約束しています。「もしも、これらの掟がわたしの前から去ることがあるなら──主のことば──イスラエルの子孫は絶えて、わたしの前にいつまでも一つの民であることはできない。」


つまり言い換えれば、神の掟が決して消え去らないように、ユダヤ民族が消滅することも決してないのです。ユダヤ人を絶滅させようとする多くの試みが失敗していることが、このことを示しています。歴史を振り返ると、神は本当にイスラエルの子孫を守ってこられたことが分かります。あらゆる困難にもかかわらず、神の契約の民は存続しているのです!



(4)神の証拠を発見する


プロイセンの王だったフリードリヒ大王と、彼の牧師についての古い話があります。懐疑的な王は、神について正論を述べよと挑発しました。牧師の答えはこのようなものだったと言われています。「彼はユダヤ人です、陛下!」


ユダヤ史、特にユダヤ人の生存と成功は、聖書の神が真実であるとすれば、最も理にかなっていもののです。何千年にもわたって連続性を保ってきた民族は他にないでしょう。


他の古代民族とは違ってユダヤ人は、古代イスラエルに直接つながっています。もちろん、ユダヤ人の宗教や文化が全く変化しなかったわけではありません。しかし、ユダヤ人の歴史には、古代イスラエルから響いてくる大きなエコーがあるのです。たとえば、シオンへの憧れです。


ユダヤ人が特定の土地に住むという概念は、アブラハムに対する最初の御言葉にまで遡ることができます。


主はアブラムに言われた。 「あなたは、あなたの土地、 あなたの親族、あなたの父の家を離れて、 わたしが示す地へ行きなさい。」(創世記12章1節)


それから神は、不妊や隷従や不従順などのさまざまな障壁を乗り越えながら、イスラエルを約束の地に導きました。また、預言者たちは、《王メシアがイスラエルを治め、人々が平和と正義のうちに住む日》を待ち望んでいたのです(イザヤ11章)。黙示録も、同じ希望を確証しています(黙示録21章1-3節)。


紀元70年にエルサレム神殿をローマ帝国が破壊し、ほとんどのユダヤ人が国外で生活するようになった後も、帰還への願いは何世紀にもわたって続いていました。近代シオニズム運動は19世紀後半に起こりましたが、ユダヤ教の典礼はそれ以前からシオンへの望みを持ち続けていました。


たとえば、過越祭の典礼の一部には、「来年はエルサレムで !」という言葉があります。何世代にもわたってユダヤ人は、その多くが自分の目でその地を見たことが無いにもかかわらず、いつか子孫がイスラエルの地に住むようになる、という信仰を表明し続けてきたのです。


そして、1948年のイスラエル国家誕生という、信じられないような出来事が起こりました。ある民族が何世紀にもわたって離散したにもかかわらず、その大部分が先祖代々の故郷に戻り、機能的な近代国家を築き上げたという例は、他に類を見ません。この驚くべき出来事は、神の民に対する神の誠実さを示すものであり、それは歴史において脈々と受け継がれているものなのです。



まとめ


クリスチャンがユダヤ史を学ぶべき4つの理由


(1)ユダヤ人の歴史は、非常に幅広く、多くの国や時代や文化を含んでいます。

(2)ユダヤ人の歴史は、教会史における反ユダヤ主義を認識させ、それが伝道にどのような影響を与えるかを教えてくれます。

(3)ユダヤ人の歴史は、神の契約の民の現在進行形の物語です。

(4)そして、ユダヤ人の歴史は、神が忠実なお方であるということの証拠です。

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