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奴隷の身から礼拝へ: 信仰の旅路

Writer:  ダビッド  トゥルーベック ダビッド トゥルーベック



奴隷の身から礼拝へ: 信仰の旅路

この記事は、トーラー朗読箇所『テルマ(捧げもの)』に関するものです。

朗読は出エジプト記25:1~27:19と列王記上5:26~6:13。そして私たちメシアニック・ジューは、第二コリント9:1~15という新約聖書の朗読も行います。


この1つ前の朗読箇所である『ミシュパティーム(定め)』で私たちは、エジプトでの奴隷という境遇から解放された後、シナイ山において神から定め・決まり(ミシュパティーム)を受け取ったという物語を読みました。そしてここで重要なポイントは、エジプトからの脱出とシナイ山でのトーラー授与とは、直接的な関係があるということです。モーセはファラオの前に来た時に「私の民を去らせてください」と言い、神のために仕えるためだと加えて語りました。人は奴隷の身とも言える罪を離れることによって、日常の中で神に仕えることが出来るのです。ユダヤ的な世界観によると自由というのは独立という状態をただ単に示すだけでなく、その自由には目的がありそれは意味と責任を伴う人生を生きるということなのです。


トーラーはガイドとしての役割を果たし、どのようにして神に仕えるべきかを教えています。そしてもう1つのポイントは、神の強さと恵みなくして、私たちは律法を成就することはできない、という点です。これに関しては、また別の場所でメッセージしたいと思っています。


今週のトーラー箇所は、聖所の建設に関してです。神が欲したのは表面上・技術的な戒めの成就ではなく、自身の民が神と一体となった状況に身を置くことでした。神は、自身の民のなかに居ることを望まれています。したがって神は、自身がイスラエルの民と共に居、彼らが臨在の中に留まるようにとの意図から、モーセに対して聖所建設を命じました。聖所とは神の臨在の場所なのです。


「彼らがわたしのために聖所を造るなら、わたしは彼らの中に住む。」

(出エジプト 25:8)


ここで聖所と訳されているヘブライ語の単語は、『ミクダッシュ』です。この単語はK-D-SHという、ヘブライ語の語根から派生しています。これは「区別された」とも訳すことが出来、「分けられた」や「聖別された」または「聖なる/神聖な」という意味にもなります。


次の節には、神の住まう場所が「幕屋」と呼ばれています。


「幕屋の型と幕屋のすべての用具の型とを、わたしがあなたに示すのと全く同じように作らなければならない。」

(25:9


ここで使用されている単語は「ミシュカン」で、これはSH-KH-Nという「住む」という語根から派生しています。ちなみにこの同じ語根から派生したのが「シュキナ/シェキナ」、神の神聖な存在/臨在を表す言葉です。


これは私たちに、何を語り掛けているでしょうか。


答えはシンプルです― 神は聖なる方であり、神に近づきたい者は神聖でなければなりません。これは主の計画・物語を成就するために、他のものと区別された存在でなければならないということです。そして神のために聖別されるというのは、何も外見・表面上の姿を良いものにするということではありません。それが心からの霊的な献身であるならば、目に見えるものや行動だけではなく私たちの心の中で何が起こっているのかというのも、非常に重要です。義を持って生きるため目に見える物質的な努力を重ねるのももちろん素晴らしいことですが、それだけに留まらずに次の霊的な旅路というステージに進み、自身の持つ欲や迷い、そして虚栄心から離れ、分けられて聖別され、主の計画に従って人生を生きる必要があるのです。


神の計画の中に自身と、自身のいるべき場所を見出すためには、このような姿勢が重要です。


だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。

(マタイ 6:33)


聖所を建てるということは、神の国を第一に認めるということでしょうか― もちろんです。そしてそのためには、一定の自己犠牲が必要になります。聖所建設のために、神はモーセに対して捧げものを集めるよう指示しています。


「わたしに奉納物をささげるように、イスラエル人に告げよ。すべて、心から進んでささげる人から、わたしへの奉納物を受けとらなければならない。」

(出エジプト 25:2)


このように神はモーセに対し、イスラエルの子らに聖所建設のための捧げもの(テルマ)を呼び掛けるよう指示しています。しかし神は、この聖なる仕事において心を本当に動かされた人々からの捧げものしか、求めてはいないのです。誰も義務や圧力から捧げものをすべきではなく、神に対する愛と感謝のみによって起こるべきです。


彼らから受けてよい奉納物は次のものである。金、銀、青銅、

青色、紫色、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、

赤くなめした雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、

燈油、そそぎの油とかおりの高い香のための香料、

エポデや胸当てにはめ込むしまめのうや宝石。

(3~7節)


これらの聖句を受けての興味深い疑問は、金・銀・青銅や高価な宝石などという富を象徴するものを、イスラエルびとがどこから手に入れたかということです。


もちろん、それら全てはエジプト人からのものでした。この場合、神によって救われ贖われる前の貧困状態は、彼らの記憶のなかで新しく鮮明に残っていました。したがって彼らが今手にしているすべての物は神から直接的に生じた結果であり、全てが神のものであるということが理解出来ました。そこで彼らは神と対面して拝することが出来る聖所を建設するために、その一部を神に対して喜んで返しました。ちなみにこの忙しい世界の中で生きる私たちにとって、これは忘れやすいことでもあります― 私たちが手にしているもの全ては、神から来たものなのです。


神はイスラエルびとに対してテルマ―捧げものをするよう、推奨しています。しかしこれは完全に自発的なものであり、「心から進んで」のものだったのです。もう1つのキーポイントは、集められたものの中には金・銀・青銅のほかに、色鮮やかな布地や宝石、油や香料、そして動物の皮などが含まれている、という点です。これは興味深い事実であり、実際には全員が金銀を持っていたわけではなく、赤や紫・青色の反物を持っていた人や、必要な量よりも多くの油や香料を持っているなど、それぞれの持ち物が違ったのです。


この章にある長いリストから、ほとんどすべての人がリストに掲載されるものを何かしら捧げることが出来た、と理解できます。しかし最も重要なのは、全ての人がこの使命のために従事したということです。全て集められたものは神と会うための幕屋という、特殊で非日常的なものを建設するためだったのです!


自信を持って言えるのは、彼らがこの知らせを聞いた時に心が動き、彼らが何か重要なことのために貢献するという理解、そして愛と喜びによって動かされたということです。


使徒パウロは、こう書いています―

こういうわけで、いつまでものこるものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です。

(一コリント 13:13)


パウロは愛について、全てを包括しているため最も重要なものだと定義しています。信仰は重要です― 私たちは信仰という基盤の上に立っていますが、愛は信仰生活を喜びによる行いへと昇華します。ミニストリーに対する参画やそれに関する戒めを守ることが出来るのは、他人に対して喜びと愛のうちに仕えているからです。そこには報酬への期待や罪への恐れからは解放された、純粋な意図があるのです。希望をなくしては、私たちは何を行うこともできません。 希望のない人生には、何の意味があるでしょうか。希望を失った人は、生きるということへの意味を失ったも同然です。しかし愛は、希望を私たちに植えることが出来ます。愛は私たちが何か別のものに労力を費やす心を与え、自身のエゴではなく他者のための働きを生みます。愛を通じて他人を祝福することにより、私たちはより祝福されるのです。他の人を祝福することで、私たちはさらに大きな祝福を受けることになるのです。そして神による祝福は、希望をもたらします。主による祝福を私たちが見て感じることで、私たちは希望と信仰の力強さに満たされるのです。

幕屋はイスラエルの愛から建設されました。彼らの捧げものは愛と希望、そして信仰によるものでした。彼らの将来への希望と完全な信仰は、自らそして心から進んで捧げようとした彼らの姿勢から来ています。今日お話ししたことは約3500年前に起こったことですが、同じ姿勢を今日において私たちは実践することが出来ます。愛と惜しみない心、そして天のためというモチベーションをもって、私たちはこの社会に対して変革をもたらすことが出来るのです。伝道活動への参加やそれに対する支援、(特に神の選民に向けられた)憎悪との対峙、そしてリーダーたちのために対する祈りなどを通じて、私たちは神の国のための能動的な働き手となるのです! そうすれば、全てのことは私たちに対して与えられるでしょう。

またこの機会を借り、CPM日本支部での働きや私たちの聖地イスラエルでの働きを、祈りや金銭的支援を通じサポートして下さっている皆さまに感謝申し上げたいと思います。

 
 
 

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